075-959-5019 Web予約
循環器内科

心臓病なのに症状を感じない無症候性心筋虚血

最近上皇様が無症候性心筋虚血のため、検査入院されたことがニュースで報道されました。

無症候性心筋虚血とは、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈(心臓の周囲にある大切な血管)が

動脈硬化によって狭窄(血液の通り道がせまくなること)閉塞(詰まってしまうこと)を起こし、

上の図のように心筋に送られる血液が不十分(虚血状態)にもかかわらず、

苦しさや胸部の痛みなどの自覚症状がない状態のことを無症候性心筋虚血と言います。

高齢の方や糖尿病の方に多い病気です

心臓の自律神経異常により痛みを感じにくくなることなどが、無症状の原因といわれています。

高齢の患者さんや糖尿病を持病に持つ方に多くみられます。

症状が無いまま進行するので、リスクが高く心不全や突然死などへ移行する場合もあります。

〇専門医による心電図のチェックが必要

生活習慣病や糖尿病の患者さんは、自覚症状が無い場合でも、

定期的に専門医による心電図のチェックが早期発見につながります。

無症候性心筋虚血の検査

年齢、性別、胸痛の状態、病歴・既往歴、心電図心臓超音波(心エコー)検査・血液・尿検査

などから冠動脈疾患・虚血状態が存在するかどうかを判断します。

専門医による心電図検査が最も大切ですが、冠動脈疾患による心筋虚血の可能性が高い場合は、

冠動脈CTやFFR-CTなどの高度な精密検査を行うこともあります。

無症状でも冠動脈CTで心臓の周囲にある冠動脈に中等度以上の狭窄(血管のせまい箇所)を認め、

虚血が疑われる場合は、FFR-CTで冠血流予備比(FFR=冠動脈の狭窄の度合いの指標)を測定します。

冠血流予備比とは病変部前後の圧較差(あつかくさ=血圧の差)を測定することで

どの血管が悪くて、血流が不足しているのか虚血の範囲を確認し治療に役立てます。

無症候性心筋虚血の治療

症状がないため、無症候性心筋虚血の治療の目的は突然死や心不全を予防することが重要になります。


①進歩する投薬治療

薬物治療としては、心筋の酸素消費量(負担)を減らすベータ遮断薬冠動脈の攣縮(れんしゅく=けいれん状態)を防ぐカルシウム拮抗薬血栓形成による血管のつまりを防ぐ抗血小板薬(血液が固まりにくくする薬)などを使用します。投薬の進歩により、一定の割合でリスクを減らすことが可能です。


②手術治療

心筋虚血の範囲が広い場合は下記の手術治療が望ましい場合があります。

カテーテル治療(風船治療・ステント治療)冠動脈バイパス手術があります。


◎カテーテル治療

局所麻酔で行える治療です。手首や足の付け根の動脈からバルーンカテーテル(先端に風船の付いた柔らかい細い管)を挿入し、風船を冠動脈の狭窄部に持ち込み膨らませることで血管を拡張します。再狭窄の確率を低くするために、多くの場合、拡張した部分に金属の網状の管(ステント)を留置します。

狭くなった冠動脈をステントで広げています


〇冠動脈バイパス手術

全身麻酔で行い自身の胸や腕などの動脈、足の静脈血管を採取し、狭窄部の先に縫合し心臓の筋肉に必要な血液を迂回して流してあげる治療方法です。


冠動脈病変の重症度や年齢、基礎疾患の有無などを考慮して、最善の治療方法を選択します。

無症候性心筋虚血の診断は専門医による心電図検査を

心配な方や気になる方はいつでもご相談ください。

まず循環器専門医による高精度の心電図検査を受けることが大切です。

Web予約・Web問診が便利です。

長岡京の内科・循環器・不整脈の専門医

よこえ内科循環器・美容形成外科クリニック

院長  横江 洋之

新着記事

カテゴリー

タグ