
昨日開催された第72回日本不整脈心電学会・初日に参加し、不整脈診療に関する最新の知見を学んでまいりました。
日本不整脈心電学会は、不整脈診療に携わる医師が全国から集まり
基礎研究から最先端の治療技術まで幅広く議論する国内最大級の学術集会です。
毎年、新しいエビデンスや治療技術が数多く発表され、今後の診療方針を考えるうえで
非常に重要な学会です。
トピック①心房期外収縮(PAC)は「良性」だけではない
今回の学会で特に印象的だったテーマの一つが、
心房期外収縮(Premature Atrial Contraction:PAC)です。

PACは健康な方にもみられる比較的良く遭遇する不整脈ですが、
近年ではPACの頻度が多い患者さんでは、将来的な心房細動(AF)の発症リスクや脳梗塞リスクが高くなることが多くの研究でも示されています。
従来は「様子を見ましょう」とされることも少なくありませんでしたが、
現在ではPACを心房細動の前兆(Atrial Cardiomyopathyの一表現)として捉える考え方が広がっています。
そのため、24時間ホルター心電図などできちんとPACの頻度(PAC burden)を評価し、
高血圧・睡眠時無呼吸症候群・肥満などの危険因子を早期から管理することの
重要性が改めて強調されていました。
トピック②パルスフィールドアブレーション(PFA)の急速な普及
近年、不整脈治療でもっとも注目されている技術がパルスフィールドアブレーション(Pulse Field Ablation:PFA)です。

従来の高周波アブレーションやクライオバルーンとは異なり
電気パルスによる不可逆的電気穿孔(Irreversible Electroporation:IRE)を利用して
心筋を選択的に治療する新しい治療法です。

PFAには
- 食道損傷や横隔神経障害など周囲組織への影響が少ない
- 手技時間の短縮が期待できる
- 肺静脈隔離の再現性が高い
といった利点があり、海外だけでなく日本でも急速に普及が進んでいます。
今回の学会でも、多くの施設から実臨床データが報告され、従来法と同等以上の治療成績に加え、安全性の高さが示されていました。
今後は持続性心房細動や再治療例への適応拡大についても、さらなるエビデンスの蓄積が期待されます。
トピック③AIが変える心電図診断
もう一つ非常に興味深かったのが、人工知能(AI)を活用した心電図解析です。

近年のAIは、通常の12誘導心電図から
- 発作性心房細動の潜在的リスク
- 左室収縮機能低下
- 将来の不整脈発症リスク
などを高精度に予測できる可能性が報告されています。
AIはまだ医師に代わるものではありませんが、大量の心電図データを効率よく解析し、見逃し防止や診断支援につながるツールとして大きな期待が寄せられています。
不整脈専門医による診断とAIの今後は、遠隔医療やウェアラブルデバイスとの連携も進み
より早期に不整脈を発見できる時代が訪れると考えられます。
最新の知見を日々の診療へ
医学は日々進歩しており、不整脈診療もここ数年で大きく変化しています。
当院では、これからも最新のエビデンスに基づいた医療(Evidence-Based Medicine:EBM)を実践し、
動悸や期外収縮、心房細動などでお悩みの患者さんに対して
安心してご相談いただける循環器診療を提供してまいります。
地域の皆さまへ質の高い医療をお届けできるよう研鑽を続けてまいりますので
症状にお困りの方はいつでもご相談ください。
Web予約が便利です。
よこえ内科循環器・美容形成外科クリニック
院長 横江 洋之