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循環器内科

夏が近づくと「熱中症に気をつけましょう」というニュースをよく耳にするようになりますね。

実は、熱中症やそれに伴う「脱水」は、心臓や血管といった循環器系に非常に大きな負担をかけることをご存知でしょうか。

今回は、単なる暑さ対策だけではない、「循環器内科医の視点」から見た熱中症のリスクと正しい対策について、医学的なデータ(論文)を交えて詳しく解説します。


1. なぜ暑さと脱水は「心臓」に悪いのか?

私たちの体は、暑さを感じると血管を拡張させ、心臓のポンプ機能を高めて血液を皮膚の表面に集めようとします。これによって汗をかき、熱を外に逃がしているのです。

しかし、このメカニズムは心臓にとって「全力疾走しているのと同じ状態」です。

さらに汗をかいて体内の水分が失われる(脱水)と、以下の悪循環が生まれます。

  • 血液の量が減る → 血圧が下がり、それを補うために脈拍が急激に速くなる(頻脈)
  • 血液が固まりやすくなる → 血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが跳ね上がる

熱中症の本質は、熱の産生と放出のバランスが崩れることです。

特に心機能が低下している方やご高齢の方は、熱を逃がすために必要な「心拍出量(心臓が送り出す血液の量)」を十分に増やすことができず、熱中症が重症化しやすいことが分かっています。

Hot weather and heat extremes: health risks Lancet 2021; 398: 698–708より引用


2. 心臓病の持病がある方・血圧の薬を飲んでいる方は特に要注意

特に以下に該当する方は、一般の方よりも熱中症のリスクが格段に高くなります。

① 高血圧で「利尿薬」を飲んでいる方

血圧を下げるために体に溜まった余分な水分を尿として出すお薬(利尿薬)を服用している場合、元々脱水になりやすい状態にあります。暑い日に自己判断でお水を控えると、一気に危険な脱水状態に陥ることがあります。

② 「ベータ遮断薬」などを服用している方

心不全や不整脈、高血圧の治療で使われる「ベータ遮断薬」は、心臓の過剰な働きを抑えて守ってくれる良いお薬です。しかし、裏を返せば「暑いときに心拍数を上げて熱を逃がす機能」を抑制してしまうため、体に熱がこもりやすくなる側面があります。

③ 過去に熱中症にかかったことがある方

近年の研究では、重症の熱中症を起こした後に、長期的なリスクとして虚血性心疾患(心筋梗塞など)や心不全、心房細動(不整脈)の発症リスクが上昇する可能性が報告されています。

熱中症は「その場をしのげば終わり」ではなく、心血管系にダメージを残さないよう予防することが極めて重要なのです。


3. 循環器内科医が推奨する熱中症対策

心臓に負担をかけずに夏を乗り切るためのポイントは3つです。

◆ 「喉が渇く前」に水分・塩分を補給する

「喉が渇いた」と感じた時点で、体はすでに脱水が始まっています。20分〜30分に一度、コップ半分〜1杯程度の水分をこまめに摂りましょう。たくさん汗をかくときは、水だけでなくスポーツドリンクや経口補水液で塩分も一緒に補うことが鉄則です。

◆ エアコンをためらわずに使う

「もったいないから」「冷えすぎるから」とエアコンを消していませんか? 室温が上がると、それだけで心臓は体温を下げるためにフル稼働を始めます。室温は26℃〜28℃を目安に、快適な環境を保ってください。

◆ 毎朝の「体重」と「脈拍」をチェックする

心不全などの持病がある方は、毎朝の体重測定がおすすめです。「前日より急に体重が減っている」「安静にしているのに脈拍が1分間に100回を超えている」という場合は、脱水が進んでいるサインかもしれません。


まとめ:おかしいなと思ったら、すぐにご相談ください

熱中症は、単なる「暑さによる体調不良」ではなく、心臓や血管の命に関わる病気を引き起こす引き金になります。

「最近、暑くなってから動悸がする」 「お薬を飲んでいるけれど、夏の水分補給はどうすればいい?」

など、少しでも不安なことがあれば、当院までお気軽にご相談ください。

患者様お一人おひとりの心臓の状態や内服薬に合わせた、正しい夏の過ごし方をご提案いたします。

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長岡京の内科・循環器・不整脈の専門医

よこえ内科循環器・美容形成外科クリニック

院長  横江 洋之

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